* 胃下垂(胃アトニー) *
胃下垂とは、ものを食べた後、胃がその重さに耐え切れず垂れ下がり、胃全体が正常な位置より下のほうにある事をいい、胃が元々ある位置の下まで垂れ下がり、ひどい時はお臍周囲や骨盤の位置まで下がる事があります。
食べた物を必死に消化しようとするため、胃酸が多く分泌され胃酸過多になる事が多いのです。
また、栄養を十分に吸収できないので食べても太らない事が多く、肌荒れも起こる事があります。
胃下垂とともに腸、腎臓なども下がってしまいます。
もともと虚弱体質で、体内の脂肪が極端に少なく、内臓下垂体質によりおこることが多いです。
胃下垂でやせるのではなく、やせたから内臓を固定する脂肪が減り、胃下垂になるのです。
太っている人が急激に痩せたり、腹筋がないために胃を支えていられなかったり、一度に食べる量が多かったり、姿勢が悪かったり、過労、ストレスなどが原因として考えられています。
胃下垂は、胃アトニーを併発する事が多いとされます。胃アトニーは消化力が低下する為に胃に症状は膨満感・ゲップ・胸やけ・胃の痛み・胃もたれ・便秘などが現れます。

東洋医学では内臓を上げる脾気と腎気が足りないと考えます。
① 心脾両虚:気づかいや血の不足により、心や脾に負担をかけ、痩せる事によりが起こります。顔色が悪い、息切れ、精神疲労、動悸、不眠、食欲不振、疲労感などを伴う事があります。
② 腎精不足:加齢、虚弱体質、性行為の過度、大病後の回復期あるいは慢性病の末期により、腎の内臓を支える力が足りなくなり起こります。耳鳴り、精神疲労、忘れっぽい、動悸、息切れ、不眠、夢を多く見る、足腰がだるい、手足の冷え、月経不順、月経痛、夜間尿などを伴う事があります。
③ 脾気虚:もともと消化器系が弱かったり、長時間座って内臓を圧迫していたり、冷たいものを飲食して脾の機能が低下する事によって、内臓を支える力が足りなくなり起こります。食欲不振、臆病、顔が白い、お腹の張り、下痢などを伴う事があります。
④ 胃熱:脂っこい食べ物、味の濃いもの、アルコール、辛いもの、刺激の多いものなどの過食が原因で胃に熱が貯まって胃酸を増加し、胃弱となり起きます。上腹部痛、便秘、ニキビ、口臭、お腹がすく、肌荒れ冷たいものを欲しがるなどを伴う事があります。
⑤ 鬱熱:ストレス(怒り、ネガティブなど)が溜まり、それが熱化し、胃腸を障害し、胃酸を増加し、胃弱となり起きます。酸があがる、げっぷ、胸や脇の張り、イライラ、体が熱い、動悸、ため息、口が苦い、赤ら顔、月経不順、月経痛などを伴う事があります。

胃下垂、内臓下垂にいたるまでに様々な原因を通り過ごします。
症状にたどり着くまでの数十個の原因をひとつひとつ明らかにしていかなくては、一時よくなってもまた元に戻ります。
それが、身体のみの原因なのか、精神面から来る行動が原因なのか、どちらも大きく影響を受けます。
鍼灸では、身体からのサポートにより、身体本来の力を取り戻し、内面にも語りかけて治療を進めていきます。

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